夢が具体的に!技術講習講習3日目

解体時間80分への短縮と、B君の探究心が広がった第3回技術講習

2026年10月9日(金)

10月2日からスタートしたB君の自転車技術講習も、今回で3回目を迎えました。

初日は工具の使い方も分からないところからスタートし、2回目には解体作業のスピードが大幅に向上。

そして今回は、単に自転車を分解するだけでなく、部品の内部構造や資源としての価値にまで興味が広がっていきました。

何より嬉しかったのは、B君が将来やってみたいことを、さらに具体的に話してくれたことです。

■ 13:00〜13:20 将来は自分のお店で再生自転車を販売したい!

今回の講習は、B君の将来の夢についての話から始まりました。

「店舗で自分たちが直した自転車を販売していきたい。そのためには、どんな資格が必要ですか?」

初日に聞かせてくれた中古自転車の国内販売やパーツセンター構想。

その夢が、少しずつ具体的な事業計画へと変わり始めているようです。

そこで、中古自転車を仕入れて販売する際に必要となる古物商許可について説明しました。

さらに、自転車整備に関わる資格として「自転車技士」と「自転車安全整備士」があることもお伝えしました。

これらは中古自転車の販売そのものに必須の資格ではありませんが、整備技術や安全性に対する信頼を高めるうえで重要な資格です。

弊社での技術講習も、将来的にこうした資格の取得を目指すための基礎づくりにつながります。

そして、その先には複雑な修理やオリジナルカスタムにも対応できる技術者への道が広がっています。

続く座学では、車輪のスポークの組み方について説明しました。

スポークにはさまざまな組み方があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

例えば「ラジアル組み」。

これはスポークを交差させず、ハブからリムに向かって放射状に組む方法です。

見た目にも特徴があり、通常のママチャリとは違った雰囲気のホイールを製作することもできます。

もちろん、ハブの構造や強度、使用条件によって適切な組み方を選ぶ必要があります。

将来、技術を身につければ、こうしたカスタムにも挑戦できることを伝えると、B君の好奇心がさらに広がったようでした。

夢があるから学びたいことが増える。学ぶことで、さらに夢が広がる。

そんな良い循環が生まれ始めています。

■ 13:20〜13:45 内装3段ハブの内部構造に興味津々!

まずは前回分解した車両の後輪を、さらに細かく解体してもらいました。

今回、B君が特に興味を示したのが「内装3段変速ハブ」です。

内装3段変速とは、後輪のハブ内部に変速機構を組み込んだ仕組みのこと。

外から見ると普通のハブに見えますが、内部には複数のギヤや駆動部品が組み込まれています。

今回はスプロケットの取り外しから始め、ダブルナット(Wナット)を緩め、ハブ内部の駆動体を取り出すところまで体験してもらいました。

ダブルナットは、2つのナットを互いに締め付けることで緩みを防ぐ仕組みです。

この構造を説明するのには少々苦労しましたが、実際に工具を使って触れてもらうことで理解を深めてもらいました。

そして、ここで大切な話を一つ。

「壊れたからといって、すべて新品に交換する必要はない」

例えば、内装3段ハブの内部にある爪やギヤが破損した場合、交換部品によっては新品の駆動体を取り寄せると8,000円程度かかることもあります。

しかし、弊社では回収した自転車から使える部品を取り出し、点検・整備したリビルト部品として活用しています。

状態や適合性、安全性を確認したうえで再利用できれば、お客様の修理費用を抑えながら、事業としても高い利益率を確保できる可能性があります。

これこそ、弊社が取り組んでいるリビルト事業の強みです。

新品部品に頼るだけでなく、まだ使える部品を活かす。

そして、その価値を見極めるためには、内部構造を理解していることが欠かせません。

B君が自ら興味を持ち、内部の仕組みを知ろうとする姿を見て、技術者として大切な探究心が育ち始めていることを感じました。

■ 13:45〜14:30 ハブダイナモの解体。自転車の中に眠る資源とは?

続いて、ハブダイナモ付き前輪の解体に取りかかりました。

ハブダイナモとは、前輪の回転を利用してライトなどに必要な電気を発生させる装置です。

通常の修理では、内部まで分解する機会はそれほど多くありません。

しかし、今回は単なる修理講習ではありません。

もちろん、分解にかかる時間と回収できる資源の価値を比較することが重要です。

自転車を資源として見たとき、どこにどんな価値があるのか。

それを知ってもらうことも大切な目的です。

ハブダイナモの内部には、発電に使われる銅線が組み込まれています。

一般的な自転車の中では、まとまった銅を回収できる貴重な部分の一つです。

弊社では、廃棄自転車を解体する際に鉄、アルミ、銅などの素材ごとに分別し、それぞれを資源として活用しています。

ハブダイナモも、時間のあるときに丁寧に解体すれば、鉄・アルミ・銅などに分けることができます。

効率よく作業できれば、人件費を考慮しても採算の取れる仕事につながる可能性があります。

ただ捨てるのではなく、価値を見つけて活かす。

これも立派な自転車技術者の仕事だと考えています。

■ 14:50〜16:00 2本目の前輪解体から、ハブダイナモの内部へ!

休憩後は、2本目のハブダイナモ付き前輪の解体に挑戦してもらいました。

同じような作業を繰り返すことで、工具の扱い方や部品の構造が少しずつ身体に染み込んでいきます。

そして15時30分からは、いよいよハブダイナモ本体の内部を解体しました。

今回は作業上のルールを設け、安全面にも注意しながら進めてもらいました。

外側からは見えなかった内部構造。

どこに銅線があるのか。

どの部品が鉄で、どの部分がアルミなのか。

実際に分解し、自分の目で確認してもらいました。

さらに、素材ごとに分別することで資源として売却できることも説明しました。

これまで単なる廃棄物に見えていたものが、知識と技術によって価値ある資源へと変わる。

「知っているか、知らないか」で仕事の可能性は大きく変わります。

こうした経験を積み重ねることで、将来B君が構想しているパーツセンター事業にも、新しい発想が生まれてくるのではないでしょうか。

■ 16:00〜17:10 解体時間が約80分に!作業効率が大きく向上

今回最後の実技は、ブリヂストンの内装3段変速ベルトドライブ車の解体です。

初日の講習では、車輪以外の部分を分解するのに約100分かかりました。

しかし、今回は明らかに様子が違います。

どこにどの工具を使えばよいのか。

どの順番で部品を外せばよいのか。

少しずつ理解が進み、迷う時間が減ってきました。

さらに今回は、作業効率を上げるために一つのルールを設けました。

「スタンドは一番最後に外す」

スタンドを残しておくことで、解体途中でも車体を安定させやすくなり、作業が進めやすくなります。

こうした小さな工夫の積み重ねが、作業効率に大きく影響します。

以前は2時間弱かかっていた解体作業が、今回は約80分で完了しました!

単に作業が速くなっただけではありません。

工具の使い方を理解し、作業の順序を考え、効率の良い方法を身につけ始めているのです。

もちろん、解体する範囲や車両の状態によって作業時間は変わりますが、今回の成長は十分に感じられるものでした。

何より、自分で考えながら作業を進められるようになってきたことが嬉しいですね。

■ 夢と探究心が、技術を育てていく

第3回の講習を終えて、改めて感じたことがあります。

それは、「明確な夢や目標を持って学ぶ人の成長は、とても頼もしい」ということです。

B君は最初、自転車の輸出に携わりながら、もっと自転車のことを知りたいという想いで講習に来てくれました。

そこから国内での中古自転車販売、パーツセンター構想へと夢が広がり、今回は自分のお店で再生自転車を販売するために必要なことを具体的に質問してくれました。

そして実技では、内装3段ハブの内部構造やハブダイナモの資源価値にまで興味を持ち、自ら触って確かめようとしています。

これは、単に教えられたことを覚えるだけでは得られない、大切な学びの姿勢です。

私は技術指導をするうえで、できる限り本人の探究心を大切にしたいと考えています。

なぜこうなっているのか。

もっと良い方法はないのか。

この部品は再利用できないのか。

こうした疑問を持ち、自分で考え、実際に試してみる。

その経験こそが、将来の技術者としての大きな財産になるはずです。

■ 技術を教えることは、新しい事業の種を育てること

私たち一般社団法人 自転車技術者協会が目指しているのは、単に自転車を修理できる人を増やすことではありません。

自転車を直す技術。

まだ使える部品を見極める技術。

廃棄物を資源として活かす技術。

そして、それらを組み合わせて事業として成立させる力。

こうした技術や考え方を次の世代へつないでいきたいと思っています。

B君が将来、自分の店舗を持ち、再生自転車を販売し、パーツセンターを運営する。

もしそんな未来が実現すれば、今ここで学んでいる一つひとつの技術が、新たな雇用や資源循環につながっていくかもしれません。

人が育てば、技術が残る。
技術が残れば、資源が活きる。
資源が活きれば、新しい仕事が生まれる。

今回の講習でも、そんな未来への可能性を感じることができました。

夢を持って取り組み、好奇心を膨らませながら学んでくれるB君。

その姿を見ることが、教える私自身にとっても大きなモチベーションになっています。

次回はどんな疑問が飛び出し、どんな成長を見せてくれるのか。

今からとても楽しみです!

B君、第3回の技術講習もお疲れさまでした!

これからも一緒に、技術と可能性を広げていきましょう!


一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

人・技術・資源・想いを循環させ、笑顔と挑戦を未来へつなぐ。