海外需要にトライ

新たなステージとキャスティング

こんにちは。代表理事の中根です。

昨日、前職の後輩から電話が入りました。

彼はモンゴルから日本に来たH君。3年前に株式会社を興し日本と海外の輸出入、中国人の日本への雇用や観光斡旋を主な事業としています。

実は彼。日本に来る前にムエタイ65kg級の中国ランキング3位だった経歴があるんです。

彼の誠実な性格は今でも当時のファンが居てどうやら華僑の方々がタニマチとして彼を応援しているのです。

相撲取り、ガッツ石松さん、プロ野球選手など現役の時の活躍が讃えられて引退後もスポンサーというか応援企業があるのと同じですね。

彼の場合華僑の方々に支援され起業一年目で愛知県刈谷市の某一流企業に人材を手配できたり中国からのセレブご一行様をバスツアーにお連れするため観光バスを買い運転手を雇って運行管理で忙しくしてました。

2年前に一度ノーパンクの件でお手伝いしたことがあるのですが先送りの様な状態で一旦保留になっていました。

昨日の電話では華僑のグループに自転車メーカーが数社有りその中でも日本向けのクオリティの工場が2社あるそうです。

その工場を活かさせてもらって海外向けの企画を進めようという提案でした。

コロナの影響で日本国内での人材斡旋や旅行業務は一旦暇になってしまったが世界的に見て今、アジア、ヨーロッパで復興に向けて自転車の需要が半端なく連日受注がすごい状態だそうです。

彼の本題は8年前から私が携わらせていただいている三輪自転車の特許の件。それを商品化するとどんなメリットがあるのかという事でした。

何故と特許が取れているのかというと巷の三輪自転車は車体を固定した時(スイング機構のロック時)前二輪、後二輪共に右に曲がる時には左へ左に曲がる時には右に体重移動をしないと曲がらないのです。歩くくらいのスピードであればハンドルを切って曲がっていくだけなのですがスキーの様な荷重移動が必要とされます。

(画像はヨーロッパで使われているカーゴバイクの実例です)

怪我や病気で二輪の自転車に乗れなくなった方が三輪をお探しになる事の多い今の日本ではその方々がスイングを固定して乗られた時、体は無意識に今までの様に内側に体を傾けようとするが思う様に曲がってくれなかったり反動で転んでしまわれたりという事が起こります。

仙台のメーカーが前二輪でかっこいい三輪を制作販売していて前職でもその代理店になって地方からの試乗のお客様は私が対応させていただいていました。そこのメリットは二輪の様にスピードを上げて乗ることができるのです。が、高齢や怪我、病気で乗れなくなった方々が跨いだ時に静止時にペダルに足を乗せて立っていることができず乗る以前の動作で泣く泣く遠路を帰っていかれる方々の対応に胸を痛めました。

今回の特許は信号待ちなど停止時はサドルに腰掛けてペダルに両足を乗せたままでも車体は倒れな背筋さえ伸ばしていればハンドルから手を離すことも可能なほど安定しているのです。

一方、走り出したき内側に体重を傾ければそれに応じてステアが切れる仕組みなので自転車に乗ったことがある人の体が覚えている感覚を裏切ることがありません。

回転半径も自在に調整できるので試作車は60度程で留めてありますが一般の自転車とほぼ同等の回転半径を実現できております。

もう一つメリットとして前のカーゴ部分の底辺が走行時常に水平を保っている事。

この開発では発明者のKさん奥様が孫を乗せて安心して走る三輪があったらいいなという事で発明好きのお二人が試行錯誤して作成されました。ご主人は某一流モーターメーカーで開発、製作、品質管理をされていた方なので図面は量産化した時にコストを抑え設備の少ない工場が部材を外注した時のことも考えて作られています。

特殊部品はなるべく使用せず自転車のフロントフォークを入れ替えるっていう感じですので今の試作車はパナソニックVIVIの前二輪になっています。(すみません企業秘密のため画像は載せられません)

今後脱炭素化で世界的な動きがある中で個人ユースにおいては世界的に電動自転車がもっと取り沙汰されていくでしょう。国によって道路交通法が違いますがヨーロッパで売れている電動アシストのフロントフォークを入れ替えるだけで幅広いニーズに対応できます。

もう一つ私が一番推していることは車幅、車長は変更可能だということです。

以前のブログでもヤマハのパスカーゴについて触れたことがありますがあの車種は特例として道路交通法の除外製品なんです。

今回の特許三輪では車幅、車長を広げて荷重に耐えうる補強をすることで軽トラックの市場を狙えるということです。しかも日本国内だけでなくヨーロッパの厳しい環境制限の中でも電動自転車であれば受け入れられやすいものになります。

しかもカーゴ底辺が常に水平でスピードを出してのコーナリングが可能ということで海外でのUberやケータリングサービス。お花屋さんなど水平を求められる業種への提案が出来るわけです。

これがPatented by  JAPANというのであれば訴求力は高いわけです。

こんな話をH君にしたところ非常に興味を持って近々試乗してみたいとの事になりました。

実は一年前彼に話したときは旅行斡旋業務が絶好調だったのでゆとりがなかったけど心の片隅に残っていたのでしょうね。

今は関西の業者さんと商品化の話が進んでいますが、量産できればコストダウンも出来るので今後の彼とのコラボが楽しみです。

弊社では自転車の技術者を育て広く普及させていこうという取り組みをメインにしています。

自転車の技術者っていうと手を汚してパンク直したりチェーンのはずれたのを直したりっていう先入観があります。当然手の汚れる仕事もありますがその分割にあった工賃をいただける様になっています。そして修理だけでなく今メーカーやOEM工場で不足している検査員などもこれに含まれます。生産に合わせ品質のチェックや組み立てラインのチェック。時には全てを止めてやり直しってこともありましたが最近のQCは洗練されてきてるので事前の打ち合わせと確認で済むことがほとんどです。

なにより客人として工場に行ってるので接待が素晴らしい‼️珍しい中国料理を食べたり酩酊する程お酒飲まされたりと面白いことも盛り沢山です。

副業としてこんなことも可能性があるのならば面白いと思いませんか?

JAPANクオリティの神話はOEMを中国にしても根強いものがあります。

JAPANというブランドを活かせるのもこの業界の面白いところでもあります。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏