ホイールバランス編
こんにちは。
代表理事の中根です。
前回、Aさんが車輪の仮組をされた続きからのレポートです。
今回はAさんのマイニップル回しが大活躍。
先ずは振れ取り台に車輪をセットして天ブレ(縦フレ)と横フレの解説。
縦横の振れとスポークのテンション全てをニップルだけでやる事に驚きの表情が印象的でした。
特にテンションは乗り心地と衝撃吸収の役目も果たすのでそれをニップルだけで調整する事にAさんにしては珍しく不安そうな発言がでました。
次にスポークのねじ山が隠れるまで全てのニップルを仮締めして全体の弛みをとっていきます。此処が1番大切でその後のセンター出しや大まかな天ブレを取る手間が解消されるのです。
次は天ブレです左右の力のバランスを見ながらニップルを少しづつ締めてリムが動いていく様を確認してもらいました。
勘の良い方なのでニップルでリムがセンターに定まっていく様を体感していただけました。
私の説明が長かったので20分程で天ブレ鎮圧‼️
次は横振れです。ゲージの音のした反対側を締めると音が消えていくロジックに目覚めたのか沼にハマったようにコンコンと横フレを取っておられました。
横フレが取り終わってまだスポークのテンションが弱いので36本を90度ずつ締め、更に90度と順々にニップルが堅く締まっていきスポークが張っていく様子を確認いただきました。
最後に横フレの最終微調整をやって終了‼️
スタートから90分でしたがレクチャしてる時間が半分以上だったので実際の作業時間は4〜50分とメッチャ早く仕上がりました。
勝手がわかってくると仮締めの時に大まかにテンションを出してしまって天フレと横フレを一緒に取っていけるようになるでしょう。
初めてのフレ取りで此処まで素直に聞いて実行していただけた人も珍しいですしこんなに早く仕上げた方も初めてなので教えているこちらのテンションが上がりました。
最近は振れ取りができるお店が減ってスポークが折れたりリムが曲がってしまうと車輪一式の交換を勧めるお店が多くなったと聞いております。確かに短時間で効率よく売上を上げていくメソッドではありますがお店目線なんですよね。
同じ工賃をいただくのであれば折れたスポークの交換、曲がったリムの交換で修理単価と一緒にゴミを減らしていく工夫がこれからの時代に求められてくる条件の様に思います。
こうした地道な取り組みで1人でも多くの技術者、職人が増えて誰もが手軽に乗る自転車を誰もが安心して乗れる環境を構築していく事が弊協会の課題だと再認識できました。
今日も此処まで読んでいただいたご縁に感謝します。
ありがとうございました。
一般社団法人 自転車技術者協会
代表理事 中根和宏