チューブリペア編
こんにちは。代表理事の中根です。
今回はAさんのパンク修理チャレンジです。
自転車店で1番多い修理は『パンク修理』では無いかと思います。
あちこちからの依頼で引き上げに伺うとパンクしてチューブが飛び出している様な車両が多くあります。
ノーパンクの施工にお見えになったあるユーザ様にお聞きした時、早朝に出勤して深夜に帰宅するから通勤時にパンクすると直してくれるお店が無くってついつい新しいのを買ってきてしまうんですよね〜という事でした。
自転車の修理難民という言葉が飛び交う昨今。自転車店減少の裏側にこういう不便でお困りの方の多い事を実感します。
パンク修理のフロー
①バルブのトップナットとロックナットを外す
②タイヤの片側ビードを外す
③チューブを取り出す
④水調べをする
⑤リペアをする
⑥水調べをする
⑦タイヤの中にチューブを収める
⑧外れたビードを嵌める
⑨バルブを押し込む
⑩空気を入れて完了
大体はこういう流れだと思っております。
今回Aさんには④⑤⑥チューブのリペアにトライしていただきました。
弊協会ではリビルトチューブというのを作成しております。交換の終わったチューブでサイドがしっかりしたものやエア漏れのないものはリペアしてあるものとしてないもので分別はしますが水調べをして巻きとって再利用させていただいております。
その作業でエア漏れのあるチューブが今回Aさんの教材となりました。
パンク修理のコツは失敗した回数だと思っているのでひたすらグラインダーで削ってゴム糊を塗りパッチを貼る事に専念していただきました。
力加減を間違えて大きな穴が空いてしまったチューブも数知れず(笑)
これがお客様の預かり品だと大慌てですが全国の自転車店では廃棄されるチューブ。
コツコツと反復練習がつづきます。
話は少し逸れますが弊協会では自転車の完全循環を目指しております。
自転車の構成素材は大まかに鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、ゴム、プラスチックなのです。
金属はスクラップとして再利用が出来ますがゴム、プラスチックのリサイクルが今後のテーマ。
処理特許を持つ業者さんは見つけたのですが現在その処理システムが休止している為そこを稼働していただける様に十分な排出をしていく事で『廃棄』ではなく原料化する為の排出に繋げていきます。
現段階ではチューブのみ別の業者さんで原料として排出ができるので社内にてサイドが削れたり、リペア回数の多いチューブ、補修不可能なチューブはバルブを切り取って『原料』にしています。
(バルブは真鍮ですから)
話は戻りますがAさんはチューブの補修がうまくいけばリビルトチューブ、失敗すれば原料を分別していただけたわけです。
パンクを習う現場としては異例の和気藹々とした空気の中でスキルアップが計れました。
個人店ではこの練習の時に嫌な思いをしたりコストを気にしたりする事で職人離れの一因にもなっているらしいです。どちらに転んでもプラス発想になるのでパンクのリペアに集中していただけました。
次回はタイヤ、チューブの脱着をマスターしていただこうと思っています。
今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します
ありがとうございました。
一般社団法人 自転車技術者協会
代表理事 中根和宏