女性整備士誕生レポート⑧

ノーパンク練習編

あけましておめでとうございます。
本年も宜しくお願いします

代表理事の中根です。

先日、Aさんが講習に来られました。
今回はノーパンクに挑戦したいとの事。

お話を聞いてみると今年の夏に買われた20型の電動アシスト自転車を岐阜の田舎で乗る機会が増えるということで防災準備も含めてノーパンクにしたいとの事。

せっかくだから自分でノーパンクの施工をしたいという事でした。

今回装着するノーパンク素材は『タンナス』20×1.75です。

ノーパンク素材がリムの内側でアンカーが弓形になって車輪に固定出来るシンプルな構造が特徴です。

先ずは弊協会にあったタンナスを装着している内装3段の車輪から取り外しをしていただきました。


失敗しても良い車輪なので思いっきりバラしていただけました。


次はそのタンナスをを外装6段の車輪に嵌めていきます

この素材をリムに嵌め込んだら専用工具で爪を一つずつ押し込んでいきます。

何度も練習で馴染ませた物ですがリムへの装着は力技あるのみです

気合を入れて嵌めていきます

やっと仮ハメが終わったので今度はアンカーを打ち込んでいきます。


例えは悪いのですがアンカーをはめて行く時に足の爪を切っている様なパッチンパッチンという小気味良い音がします。

いきなりAさんの自転車だとリスクが大きいので製作中の中古自転車の車輪に取り外しすみのタンナスを入れてアンカーを打ち込んでいただきました。
既に取り付いていたタンナスなので簡単にはまりアンカー打ち込みです

アンカーを弓形にするイメージで押し込まないとアンカーが逆噴射してきてしまうので専用工具で何度も失敗を経験していただき上手く行った時のパッチンという音も確認していただきました。

この時、取引先からの打ち合わせの電話が入り15分程の長い電話している間、なんとAさんが先程嵌めたタンナスを外し出しました。
どうしちゃったのか私がドギマギしていると外し終えた後、再度嵌める練習をされ始めたのです。
こ気味良い音が店内に響き私が電話を終えるタイミングでTAKE2終了。

Aさんの探究心に驚いた一コマでした。

練習編はここまで。
次回はノーパンク施工本番です。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。
ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会
代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート⑦

チューブリペア編

こんにちは。代表理事の中根です。

今回はAさんのパンク修理チャレンジです。

自転車店で1番多い修理は『パンク修理』では無いかと思います。

あちこちからの依頼で引き上げに伺うとパンクしてチューブが飛び出している様な車両が多くあります。

ノーパンクの施工にお見えになったあるユーザ様にお聞きした時、早朝に出勤して深夜に帰宅するから通勤時にパンクすると直してくれるお店が無くってついつい新しいのを買ってきてしまうんですよね〜という事でした。

自転車の修理難民という言葉が飛び交う昨今。自転車店減少の裏側にこういう不便でお困りの方の多い事を実感します。

パンク修理のフロー

①バルブのトップナットとロックナットを外す

②タイヤの片側ビードを外す

③チューブを取り出す

④水調べをする

⑤リペアをする

⑥水調べをする

⑦タイヤの中にチューブを収める

⑧外れたビードを嵌める

⑨バルブを押し込む

⑩空気を入れて完了

大体はこういう流れだと思っております。

今回Aさんには④⑤⑥チューブのリペアにトライしていただきました。

弊協会ではリビルトチューブというのを作成しております。交換の終わったチューブでサイドがしっかりしたものやエア漏れのないものはリペアしてあるものとしてないもので分別はしますが水調べをして巻きとって再利用させていただいております。

その作業でエア漏れのあるチューブが今回Aさんの教材となりました。

パンク修理のコツは失敗した回数だと思っているのでひたすらグラインダーで削ってゴム糊を塗りパッチを貼る事に専念していただきました。

力加減を間違えて大きな穴が空いてしまったチューブも数知れず(笑)

これがお客様の預かり品だと大慌てですが全国の自転車店では廃棄されるチューブ。

コツコツと反復練習がつづきます。

話は少し逸れますが弊協会では自転車の完全循環を目指しております。

自転車の構成素材は大まかに鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、ゴム、プラスチックなのです。

金属はスクラップとして再利用が出来ますがゴム、プラスチックのリサイクルが今後のテーマ。

処理特許を持つ業者さんは見つけたのですが現在その処理システムが休止している為そこを稼働していただける様に十分な排出をしていく事で『廃棄』ではなく原料化する為の排出に繋げていきます。

現段階ではチューブのみ別の業者さんで原料として排出ができるので社内にてサイドが削れたり、リペア回数の多いチューブ、補修不可能なチューブはバルブを切り取って『原料』にしています。

(バルブは真鍮ですから)

話は戻りますがAさんはチューブの補修がうまくいけばリビルトチューブ、失敗すれば原料を分別していただけたわけです。

パンクを習う現場としては異例の和気藹々とした空気の中でスキルアップが計れました。

個人店ではこの練習の時に嫌な思いをしたりコストを気にしたりする事で職人離れの一因にもなっているらしいです。どちらに転んでもプラス発想になるのでパンクのリペアに集中していただけました。

次回はタイヤ、チューブの脱着をマスターしていただこうと思っています。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

イケメン整備士誕生レポート③

全ケースママチャリ編

こんにちは。

代表理事の中根です。

今回はNさんに全ケースのママチャリのバラしにチャレンジしていただきました。

残念なのはうっかりしていたらNさんのバラシの早さでフロント部分の画像を撮り忘れてしまいました。

チェーンがカバーの中を貫通しているので乗車していてチェーンで汚れる事がないのでポピュラーな物なのですが組み立ての時は大変なんです。(汗)

これをバラすことで車輪の脱着などのコツを少しでも掴んでいただければと思いこの車両をチョイスしました。

テキパキとフロント部分からバラしを始められフロントフォークを外されるまでを30分❣️

物凄いスピードです。

とても3回目とは思えない手際の良さ。

さて、今回のキモである全ケースから車輪を外すところなのですが車両のチェーンがかなり伸びていて簡単にはずせてしまいました。

全ケースの取り外しでは流石にロックリングの逆ネジをどれで外すのかこの日最初のレクチャー。

ポンチを使って外した後、B/Bのバラしまでしていただきました。

この車両、B/Bに大きなガタがありこれの調整の仕方などもレクチャしたのですが調整すると重いのでリテーナーがダメになっているのを確認。バラしてもらったところ案の定リテーナーの枠だけがワンの中にひっそりと残っておりました。

今回も全部ばらし終わるのに80分。

話の中で色々とネットで調べたりという予習をされている様です。

それにしても早技に驚きの連続でした。

教える側としてはもっと失敗してそこから学んでいただきたいんですけどね(笑)

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

イケメン整備士誕生レポート②

こんにちは。

代表理事の中根です

翌日、仕事帰りのNさんがお越しになりました。

ロードバイクで走ってきた後、作業用のツナギを上から着て即作業。

仕事の出来る人ってこういう段取りも凄いんですね。

今回は外装6段のタウンサイクルのバラしにトライいただきました。

前日とスペックは似てるのですが平爪外装というところとバンドドラムブレーキ、ノーマル。B/Bが初体験箇所。

前回お越しになった時にお見せした車両なのでYoutubeでチェーンのカットなどを学習してこられ、お伝えできたのはバンドドラムブレーキのプーリーを外すのとB/Bの調整の仕方くらいでした。

作業工程を見させていただきながら工具のチョイスや持ち方もセンスバッチリでこれが2台目⁉️ってホント⁉️って感じでした。

恐らく普段からロードバイクに乗られたりしている事や過去に原付バイクを弄っていた経験から無意識のうちにいろんなイメージトレーニングができていたのでしょう。

こういうお方はかなり高度な事を望んでおられると思います。

新たな事に触れてそれが無意識にイメージでリプレイされるのかもしれないのでいろいろなケースを体験していただこうと思っております。

この日もバラし始めてから45分程で車輪以外を完全にバラされました。

頼もしいです。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会 

代表理事 中根和宏

映画『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』協賛

こんにちは。代表理事の中根です。

今日は車両協賛した映画のお話です。

3月から全国で公開。今回は先行公開という事で撮影の舞台である名古屋にて舞台挨拶も観に行来ました。

不思議なご縁で知り合いである美術短大講師のTさんからの電話で古い自転車を探してる友人が居るので協力して欲しいとの事がきっかけ。

美術担当のHさんとはメッセンジャーにて色々な質問、要望などをやり取りして弊協会では所持している車両3台がその当時のロットだという事で貸出が決まったのです。

個人の趣味レベルの映画なのだろうと安易に受諾してしまいましたが色々話を聴いていくとキャストが凄かった‼️

全国公開されるのに経年劣化した車両では時代考証が合わないのでは⁉️と青ざめ

フルレストア大会‼️

特に24型のママチャリは今でも普段使いしてるので汚れが激しかったのです。

全部バラして洗って磨いて錆びたネジなどはなるべく当時ものに交換し、車輪は前後ともスポークを新品に組み替えました。そして倉庫の奥に在った親父が残していた花柄タイヤを装着。

このタイヤは今存在しないので業界の方が見ても驚かれると思います。

今日は舞台挨拶を楽しみに早めに準備をして出かけました。

到着してビックリ‼️

映画館の切符売り場から建物に沿って50m以上の行列‼️

チケット売り場の前は既にチケットを手にした方とHさんを含む制作関係者が歓談中。

その隣はテレビ局のカメラが数台実況中継していました。

今回の先行公演、そして映画の舞台にもなってる『シネマスコーレ』はお世辞にも広い映画館とは言えない隠れ家的な劇場である。

行列の最後尾に並びソワソワしていた時、今日の上映枠チケット完売のアナウンス・・・

入り口で歓談されてたHさんと色々話をさせていただくと1番客は開演2時間以上も前に並ばれた様である。

という訳で映画の感想は次回のお楽しみ。

美術短大講習のTさんからは舞台挨拶の様子の画像のほか冒頭から3台の自転車が頻繁に出てきましたねという同意を求められるメッセージに恥ずかしながら遅刻した旨を告げました。(笑)

昭和をテーマにしたドラマや映画の道具として今後お問合せが来た時に速やかに対応できる様コレクションとレストアの幅を広げようと決意しました。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

イケメン整備士誕生レポート①

こんにちは。

代表理事の中根です。

先日夕方、Nさんが来店されました。

お話をお聞きすると弊協会のHPを観ていただき、ロードバイクで通勤しているけど自分でもいじってみたいとの事。

一般車とロードバイクは似て非なる物ではありますが応用は効くので仕事帰りに習いに来られるとの事。

今まで原付バイクを弄ったりと機械物に触れることに抵抗はないとの事でした。

ご自宅と会社の中間に弊協会が位置するので時々朝ものすごいスピードで自動車を抜いて行くNさんを見かけておりました。

初日からバラしをして自転車に慣れていただきます。

先日、某集合住宅で回収させていただいた車両。

いつものように敢えて口を挟まず自由にバラしていただき困った〜。お手上げ〜という時に助言するスタイルです。元々興味があった方なので後ろ車輪の外しでアドバイスしたのはブレーキインナーのキャップの外し方とベルクランクから3SPワイヤーを外すだけ。

チェーン引きの存在も難なくクリアされて前後の車輪が外されました。

チェーンのジョイントの外し方はどうかな?って思っていたらチェーンカッターですんなり切っておられました。

恐らくロードバイクの整備の動画でご存じだったんでしょう。

後からジョイントのクリップの外し方をお伝えする事になってしまいました。

クランクの外し方でやっと私の出番が出来てクランクリムーバーの使い方をレクチャー。

ビックリしたのがB/Bのバラしの時、(この時のB/Bはカートリッジ式)『右側は特殊』と言っただけで工具を充てがって逆回し。逆ネジの存在を一言で理解された人は初めてです。

この車両の車輪はリビルトとして使うのでこのままクリーニングして使います。

1時間程で車輪以外を完全にバラしていただけました。

本当に初めてなんですか??っていうくらい口出し出来なかった事に驚きました。

Nさんのような器用な方が副業(複業)で活躍されていく事で地域の方々に喜んでいただける日が近いと思いました。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート⑦

チューブリペア編

こんにちは。代表理事の中根です。

今回はAさんのパンク修理チャレンジです。

自転車店で1番多い修理は『パンク修理』では無いかと思います。

あちこちからの依頼で引き上げに伺うとパンクしてチューブが飛び出している様な車両が多くあります。

ノーパンクの施工にお見えになったあるユーザ様にお聞きした時、早朝に出勤して深夜に帰宅するから通勤時にパンクすると直してくれるお店が無くってついつい新しいのを買ってきてしまうんですよね〜という事でした。

自転車の修理難民という言葉が飛び交う昨今。自転車店減少の裏側にこういう不便でお困りの方の多い事を実感します。

パンク修理のフロー

①バルブのトップナットとロックナットを外す

②タイヤの片側ビードを外す

③チューブを取り出す

④水調べをする

⑤リペアをする

⑥水調べをする

⑦タイヤの中にチューブを収める

⑧外れたビードを嵌める

⑨バルブを押し込む

⑩空気を入れて完了

大体はこういう流れだと思っております。

今回Aさんには④⑤⑥チューブのリペアにトライしていただきました。

弊協会ではリビルトチューブというのを作成しております。交換の終わったチューブでサイドがしっかりしたものやエア漏れのないものはリペアしてあるものとしてないもので分別はしますが水調べをして巻きとって再利用させていただいております。

その作業でエア漏れのあるチューブが今回Aさんの教材となりました。

パンク修理のコツは失敗した回数だと思っているのでひたすらグラインダーで削ってゴム糊を塗りパッチを貼る事に専念していただきました。

力加減を間違えて大きな穴が空いてしまったチューブも数知れず(笑)

これがお客様の預かり品だと大慌てですが全国の自転車店では廃棄されるチューブ。

コツコツと反復練習がつづきます。

話は少し逸れますが弊協会では自転車の完全循環を目指しております。

自転車の構成素材は大まかに鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、ゴム、プラスチックなのです。

金属はスクラップとして再利用が出来ますがゴム、プラスチックのリサイクルが今後のテーマ。

処理特許を持つ業者さんは見つけたのですが現在その処理システムが休止している為そこを稼働していただける様に十分な排出をしていく事で『廃棄』ではなく原料化する為の排出に繋げていきます。

現段階ではチューブのみ別の業者さんで原料として排出ができるので社内にてサイドが削れたり、リペア回数の多いチューブ、補修不可能なチューブはバルブを切り取って『原料』にしています。

(バルブは真鍮ですから)

話は戻りますがAさんはチューブの補修がうまくいけばリビルトチューブ、失敗すれば原料を分別していただけたわけです。

パンクを習う現場としては異例の和気藹々とした空気の中でスキルアップが計れました。

個人店ではこの練習の時に嫌な思いをしたりコストを気にしたりする事で職人離れの一因にもなっているらしいです。どちらに転んでもプラス発想になるのでパンクのリペアに集中していただけました。

⚠️下の画像は蛍光灯の光が水面に反射しているだけです。チューブに刺さってるわけではありません

次回はタイヤ、チューブの脱着をマスターしていただこうと思っています。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏q

女性整備士誕生レポート⑥

こんにちは

代表理事の中根です。

大変ご無沙汰いたしておりました。

レポート⑤のアップロード後、Aさんがお越しになり車輪組に再度チャレンジされました。

前回は仮組と振れ取りを別々の日で実施したのですが今回は仮組から振れ取りまでを同日で仕上げるトライをしていただきました。

バラしの時にスポークが裏と表から交互に差し込んでいることをご理解いただけていたのでJIS組でのトライ。

一本目をおもむろに上のフランジに差し込んだ後下のフランジに垂直に垂らした右側の穴にスポークを通してJIS組の準備完了。

一つおきに上下のフランジに差し込みハブを逆さまにする時レクチャを忘れた為差し込んだスポークが数本抜け落ちるハプニングありましたがもう一度リトライしスムーズにスポーク通し完了。

興味があるというのはこういう細かいところまで観察しながらバラしをしてくれてたんだなぁと感心しつつ仮組のニップルを手に取ってくれました。

リズミカルにバルブ穴の隣からニップルを仮留めして2回目とは思えないほどスムーズ進んでいきます。

上のフランジのニップル仮留めが終わった後、ここからが中根メソッド‼︎

ほとんどの自転車屋さんが車輪をひっくり返されるのですが車輪をそのままにして仮留めを進めていきます。

メリット

❶リムが宙に浮いた状態なのでニッピルの角が穴に引っかかることが少ない

❷ひっくり返すとスポークが踊るのであぶない

❸時間の短縮になる

Aさんは初めての仮組からこのメソッドなのでひっくり返すことを知らないので例えば試験会場などに入った時周りの組み立てスピードよりとても速いことにビックリされることでしょう。

スポーク通しから35分ほどで仮組が完了。

ここから中根メソッドでは振れ取り台に掛ける前に仮締をします。

#13-#14スポークの後ろ車輪なのでスポークのニップルネジ部分は#14。

このスレッド(ネジきり)の付け根から一山くらいを残して細いマイナスドライバーで36個のニップルを締めていきます。

5分ほどで仕上がり振れ取り台にかけます。

車輪センターを確認しながら同時に縦フレ(天ブレ)を調整していきました。

7分程でセンターが出てここからは横フレ取り。

慎重に少しずつ締めていくことでちょっと時間は掛かりましたが一気に締め上げて後から緩める事を考えればこれくらいがちょうど良い進捗です。

慣れればスポークのテンションを感じながらニップルの回転を調整できる様になるのでそうなれば大幅に時短が可能になっていきます。

今回は90°ずつニップルを回していくことで少しづつスポークが張っていく様を体感していただけました。

今回は車輪組から振れ取りまでを2時間で完成させてくれました。

人生2度目の車輪組を2時間で終えられたAさんの集中力が素晴らしいです。

この車輪はリビルト車輪として修理などの再販に活用させていただきます。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート⑤

ホイールバランス編

こんにちは。

代表理事の中根です。

前回、Aさんが車輪の仮組をされた続きからのレポートです。

今回はAさんのマイニップル回しが大活躍。

先ずは振れ取り台に車輪をセットして天ブレ(縦フレ)と横フレの解説。

縦横の振れとスポークのテンション全てをニップルだけでやる事に驚きの表情が印象的でした。

特にテンションは乗り心地と衝撃吸収の役目も果たすのでそれをニップルだけで調整する事にAさんにしては珍しく不安そうな発言がでました。

次にスポークのねじ山が隠れるまで全てのニップルを仮締めして全体の弛みをとっていきます。此処が1番大切でその後のセンター出しや大まかな天ブレを取る手間が解消されるのです。

次は天ブレです左右の力のバランスを見ながらニップルを少しづつ締めてリムが動いていく様を確認してもらいました。

勘の良い方なのでニップルでリムがセンターに定まっていく様を体感していただけました。

私の説明が長かったので20分程で天ブレ鎮圧‼️

次は横振れです。ゲージの音のした反対側を締めると音が消えていくロジックに目覚めたのか沼にハマったようにコンコンと横フレを取っておられました。

横フレが取り終わってまだスポークのテンションが弱いので36本を90度ずつ締め、更に90度と順々にニップルが堅く締まっていきスポークが張っていく様子を確認いただきました。

最後に横フレの最終微調整をやって終了‼️

スタートから90分でしたがレクチャしてる時間が半分以上だったので実際の作業時間は4〜50分とメッチャ早く仕上がりました。

勝手がわかってくると仮締めの時に大まかにテンションを出してしまって天フレと横フレを一緒に取っていけるようになるでしょう。

初めてのフレ取りで此処まで素直に聞いて実行していただけた人も珍しいですしこんなに早く仕上げた方も初めてなので教えているこちらのテンションが上がりました。

最近は振れ取りができるお店が減ってスポークが折れたりリムが曲がってしまうと車輪一式の交換を勧めるお店が多くなったと聞いております。確かに短時間で効率よく売上を上げていくメソッドではありますがお店目線なんですよね。

同じ工賃をいただくのであれば折れたスポークの交換、曲がったリムの交換で修理単価と一緒にゴミを減らしていく工夫がこれからの時代に求められてくる条件の様に思います。

こうした地道な取り組みで1人でも多くの技術者、職人が増えて誰もが手軽に乗る自転車を誰もが安心して乗れる環境を構築していく事が弊協会の課題だと再認識できました。

今日も此処まで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート④

こんにちは。

代表理事の中根です。

今回はAさんに車輪組み立てを体験していただきました。

今まではただ単にバラすだけだったのですがこうして車輪組みを覚えていただくことで今後、バラしをする時にも視点が変わってくると思ったからです。

今回は27型のオートライト前車輪に挑戦していただきました。

その前に簡単にスポークの#13、#14の違いを見て確認していただき8本組み、6本組み、4本組み、ラジアル組の説明。

通常の自転車の前車輪は#14の6本組。JIS組に取り組んでいただきました。

ポイントは2本目のスポークを通す穴を右側取ること。

Aさんの凄いのは前回車輪をバラした時に交互にスポークが刺さっていたのを覚えておられました。

JIS組の通し方を教えただけで規則正しくスポークを通すことができました。

弊協会では中根メソッドで組んでいただきます。

ハブ心を地面につけたまま浮かせずに組んでいただくのです。

バルブ穴の隣からニップルを規則正しくはめていき上のフランジのスポークが全て出来上がったら車輪をひっくり返さずそのまま下のフランジのスポークを組んでいきます。

これは私が小学校2年の冬から家業の手伝いで父から教え込まれた組み方です。

昭和の時代。自転車や部品が国産であった時、殆どバラバラで店舗に届きベアリングの一つずつから自転車店で組み付けていた時代。業界で組み立て競争という行事があったそうです。

父はその大会で10位。(何人挑戦したのかは今となっては判りませんが)早く組み立てるために人よりも手数を少なくする事を考えた結果がこのやり方だったそうです。

のちに私がツノダ自転車に入社した時その大会で1位だったお店で技を見る機会がありました。

仮組みは父と同じメソッド。違いはフレ取りでした。

振れ取り台にかけてから3回転させるだけでタイヤをはめる技を何度も見させてもらって技を盗むことが出来たのです。

話がそれましたが今回は仮組み。1時間掛かりましたが初めてにしてはミス無く形に出来ました。

ハブ心を地面につけたままでしたのでスポークが暴れることなく安全にニップルとジョイント出来ました。

小さな失敗はあったもののこれらは次に繋がる学びです。

本当はもっと大きな失敗して逸話共に学んでいただきたかった(笑)

手袋をしてるのでニップルがつまみにくく回転を思うように回せずはめたはずのニップルがポロポロ落ちてしまうことで時間ロスはありましたが初めて車輪組みする人とは思えないスピードと出来映えでした。

女性であるゆえに細かな事に気が回せるって事なのでしょうか?

今までお教えした男性陣よりも私の手や口を挟む機会の少なかった事が印象的でした。

このまま数をこなして6本取りの感覚を指で覚えてしまえば中国の自転車工場で車輪組してる小姐達に引けを取らないスピードになるのは容易に想像出来ます。

自転車技士試験の講習でみなさんが苦手とされる車輪組み立ては実は簡単だと思っていただける様に覚えて慣れていただく事で大きな自信になります。

目指すところは仮組とフレ取りで20分で出来る様になっていただき実技試験を余裕で組み上げて

いただきます。実技試験に於いて90分の時間制限の中で40分で立ち上がって会場を出て行く時の周りの羨望の眼差しは超快感です。

(私が受験した時はレギュレーションがもう少し緩かったので33分で組み上げました。エヘン)

これからの時代。インフレの上に円安が重なって来ます。更に産油国の減産で石油価格が更に高額取引になりガソリン価格に反映されて来ます。

一先ず12月頃までは補助金で175円に安定させるそうですがその補助金が無くなれば200円/L以上になる可能性があります。

自転車の整備修理の応用が出来れば減少している自転車店の代わりに直す事が出来ます。

些細な調整や簡単な修理で直るものを買い替えてゴミを増やすよりも直して永く乗る事がこれからの脱炭素時代に沿った仕事の在り方であると思っております。

この考えに賛同して講習に参加いただいているAさんに感謝しております。

次回はこの車輪でフレ取りにチャレンジしていただきます。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏