女性整備士誕生レポート⑦

チューブリペア編

こんにちは。代表理事の中根です。

今回はAさんのパンク修理チャレンジです。

自転車店で1番多い修理は『パンク修理』では無いかと思います。

あちこちからの依頼で引き上げに伺うとパンクしてチューブが飛び出している様な車両が多くあります。

ノーパンクの施工にお見えになったあるユーザ様にお聞きした時、早朝に出勤して深夜に帰宅するから通勤時にパンクすると直してくれるお店が無くってついつい新しいのを買ってきてしまうんですよね〜という事でした。

自転車の修理難民という言葉が飛び交う昨今。自転車店減少の裏側にこういう不便でお困りの方の多い事を実感します。

パンク修理のフロー

①バルブのトップナットとロックナットを外す

②タイヤの片側ビードを外す

③チューブを取り出す

④水調べをする

⑤リペアをする

⑥水調べをする

⑦タイヤの中にチューブを収める

⑧外れたビードを嵌める

⑨バルブを押し込む

⑩空気を入れて完了

大体はこういう流れだと思っております。

今回Aさんには④⑤⑥チューブのリペアにトライしていただきました。

弊協会ではリビルトチューブというのを作成しております。交換の終わったチューブでサイドがしっかりしたものやエア漏れのないものはリペアしてあるものとしてないもので分別はしますが水調べをして巻きとって再利用させていただいております。

その作業でエア漏れのあるチューブが今回Aさんの教材となりました。

パンク修理のコツは失敗した回数だと思っているのでひたすらグラインダーで削ってゴム糊を塗りパッチを貼る事に専念していただきました。

力加減を間違えて大きな穴が空いてしまったチューブも数知れず(笑)

これがお客様の預かり品だと大慌てですが全国の自転車店では廃棄されるチューブ。

コツコツと反復練習がつづきます。

話は少し逸れますが弊協会では自転車の完全循環を目指しております。

自転車の構成素材は大まかに鉄、アルミ、ステンレス、銅、真鍮、ゴム、プラスチックなのです。

金属はスクラップとして再利用が出来ますがゴム、プラスチックのリサイクルが今後のテーマ。

処理特許を持つ業者さんは見つけたのですが現在その処理システムが休止している為そこを稼働していただける様に十分な排出をしていく事で『廃棄』ではなく原料化する為の排出に繋げていきます。

現段階ではチューブのみ別の業者さんで原料として排出ができるので社内にてサイドが削れたり、リペア回数の多いチューブ、補修不可能なチューブはバルブを切り取って『原料』にしています。

(バルブは真鍮ですから)

話は戻りますがAさんはチューブの補修がうまくいけばリビルトチューブ、失敗すれば原料を分別していただけたわけです。

パンクを習う現場としては異例の和気藹々とした空気の中でスキルアップが計れました。

個人店ではこの練習の時に嫌な思いをしたりコストを気にしたりする事で職人離れの一因にもなっているらしいです。どちらに転んでもプラス発想になるのでパンクのリペアに集中していただけました。

⚠️下の画像は蛍光灯の光が水面に反射しているだけです。チューブに刺さってるわけではありません

次回はタイヤ、チューブの脱着をマスターしていただこうと思っています。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏q

女性整備士誕生レポート⑥

こんにちは

代表理事の中根です。

大変ご無沙汰いたしておりました。

レポート⑤のアップロード後、Aさんがお越しになり車輪組に再度チャレンジされました。

前回は仮組と振れ取りを別々の日で実施したのですが今回は仮組から振れ取りまでを同日で仕上げるトライをしていただきました。

バラしの時にスポークが裏と表から交互に差し込んでいることをご理解いただけていたのでJIS組でのトライ。

一本目をおもむろに上のフランジに差し込んだ後下のフランジに垂直に垂らした右側の穴にスポークを通してJIS組の準備完了。

一つおきに上下のフランジに差し込みハブを逆さまにする時レクチャを忘れた為差し込んだスポークが数本抜け落ちるハプニングありましたがもう一度リトライしスムーズにスポーク通し完了。

興味があるというのはこういう細かいところまで観察しながらバラしをしてくれてたんだなぁと感心しつつ仮組のニップルを手に取ってくれました。

リズミカルにバルブ穴の隣からニップルを仮留めして2回目とは思えないほどスムーズ進んでいきます。

上のフランジのニップル仮留めが終わった後、ここからが中根メソッド‼︎

ほとんどの自転車屋さんが車輪をひっくり返されるのですが車輪をそのままにして仮留めを進めていきます。

メリット

❶リムが宙に浮いた状態なのでニッピルの角が穴に引っかかることが少ない

❷ひっくり返すとスポークが踊るのであぶない

❸時間の短縮になる

Aさんは初めての仮組からこのメソッドなのでひっくり返すことを知らないので例えば試験会場などに入った時周りの組み立てスピードよりとても速いことにビックリされることでしょう。

スポーク通しから35分ほどで仮組が完了。

ここから中根メソッドでは振れ取り台に掛ける前に仮締をします。

#13-#14スポークの後ろ車輪なのでスポークのニップルネジ部分は#14。

このスレッド(ネジきり)の付け根から一山くらいを残して細いマイナスドライバーで36個のニップルを締めていきます。

5分ほどで仕上がり振れ取り台にかけます。

車輪センターを確認しながら同時に縦フレ(天ブレ)を調整していきました。

7分程でセンターが出てここからは横フレ取り。

慎重に少しずつ締めていくことでちょっと時間は掛かりましたが一気に締め上げて後から緩める事を考えればこれくらいがちょうど良い進捗です。

慣れればスポークのテンションを感じながらニップルの回転を調整できる様になるのでそうなれば大幅に時短が可能になっていきます。

今回は90°ずつニップルを回していくことで少しづつスポークが張っていく様を体感していただけました。

今回は車輪組から振れ取りまでを2時間で完成させてくれました。

人生2度目の車輪組を2時間で終えられたAさんの集中力が素晴らしいです。

この車輪はリビルト車輪として修理などの再販に活用させていただきます。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート⑤

ホイールバランス編

こんにちは。

代表理事の中根です。

前回、Aさんが車輪の仮組をされた続きからのレポートです。

今回はAさんのマイニップル回しが大活躍。

先ずは振れ取り台に車輪をセットして天ブレ(縦フレ)と横フレの解説。

縦横の振れとスポークのテンション全てをニップルだけでやる事に驚きの表情が印象的でした。

特にテンションは乗り心地と衝撃吸収の役目も果たすのでそれをニップルだけで調整する事にAさんにしては珍しく不安そうな発言がでました。

次にスポークのねじ山が隠れるまで全てのニップルを仮締めして全体の弛みをとっていきます。此処が1番大切でその後のセンター出しや大まかな天ブレを取る手間が解消されるのです。

次は天ブレです左右の力のバランスを見ながらニップルを少しづつ締めてリムが動いていく様を確認してもらいました。

勘の良い方なのでニップルでリムがセンターに定まっていく様を体感していただけました。

私の説明が長かったので20分程で天ブレ鎮圧‼️

次は横振れです。ゲージの音のした反対側を締めると音が消えていくロジックに目覚めたのか沼にハマったようにコンコンと横フレを取っておられました。

横フレが取り終わってまだスポークのテンションが弱いので36本を90度ずつ締め、更に90度と順々にニップルが堅く締まっていきスポークが張っていく様子を確認いただきました。

最後に横フレの最終微調整をやって終了‼️

スタートから90分でしたがレクチャしてる時間が半分以上だったので実際の作業時間は4〜50分とメッチャ早く仕上がりました。

勝手がわかってくると仮締めの時に大まかにテンションを出してしまって天フレと横フレを一緒に取っていけるようになるでしょう。

初めてのフレ取りで此処まで素直に聞いて実行していただけた人も珍しいですしこんなに早く仕上げた方も初めてなので教えているこちらのテンションが上がりました。

最近は振れ取りができるお店が減ってスポークが折れたりリムが曲がってしまうと車輪一式の交換を勧めるお店が多くなったと聞いております。確かに短時間で効率よく売上を上げていくメソッドではありますがお店目線なんですよね。

同じ工賃をいただくのであれば折れたスポークの交換、曲がったリムの交換で修理単価と一緒にゴミを減らしていく工夫がこれからの時代に求められてくる条件の様に思います。

こうした地道な取り組みで1人でも多くの技術者、職人が増えて誰もが手軽に乗る自転車を誰もが安心して乗れる環境を構築していく事が弊協会の課題だと再認識できました。

今日も此処まで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士誕生レポート④

こんにちは。

代表理事の中根です。

今回はAさんに車輪組み立てを体験していただきました。

今まではただ単にバラすだけだったのですがこうして車輪組みを覚えていただくことで今後、バラしをする時にも視点が変わってくると思ったからです。

今回は27型のオートライト前車輪に挑戦していただきました。

その前に簡単にスポークの#13、#14の違いを見て確認していただき8本組み、6本組み、4本組み、ラジアル組の説明。

通常の自転車の前車輪は#14の6本組。JIS組に取り組んでいただきました。

ポイントは2本目のスポークを通す穴を右側取ること。

Aさんの凄いのは前回車輪をバラした時に交互にスポークが刺さっていたのを覚えておられました。

JIS組の通し方を教えただけで規則正しくスポークを通すことができました。

弊協会では中根メソッドで組んでいただきます。

ハブ心を地面につけたまま浮かせずに組んでいただくのです。

バルブ穴の隣からニップルを規則正しくはめていき上のフランジのスポークが全て出来上がったら車輪をひっくり返さずそのまま下のフランジのスポークを組んでいきます。

これは私が小学校2年の冬から家業の手伝いで父から教え込まれた組み方です。

昭和の時代。自転車や部品が国産であった時、殆どバラバラで店舗に届きベアリングの一つずつから自転車店で組み付けていた時代。業界で組み立て競争という行事があったそうです。

父はその大会で10位。(何人挑戦したのかは今となっては判りませんが)早く組み立てるために人よりも手数を少なくする事を考えた結果がこのやり方だったそうです。

のちに私がツノダ自転車に入社した時その大会で1位だったお店で技を見る機会がありました。

仮組みは父と同じメソッド。違いはフレ取りでした。

振れ取り台にかけてから3回転させるだけでタイヤをはめる技を何度も見させてもらって技を盗むことが出来たのです。

話がそれましたが今回は仮組み。1時間掛かりましたが初めてにしてはミス無く形に出来ました。

ハブ心を地面につけたままでしたのでスポークが暴れることなく安全にニップルとジョイント出来ました。

小さな失敗はあったもののこれらは次に繋がる学びです。

本当はもっと大きな失敗して逸話共に学んでいただきたかった(笑)

手袋をしてるのでニップルがつまみにくく回転を思うように回せずはめたはずのニップルがポロポロ落ちてしまうことで時間ロスはありましたが初めて車輪組みする人とは思えないスピードと出来映えでした。

女性であるゆえに細かな事に気が回せるって事なのでしょうか?

今までお教えした男性陣よりも私の手や口を挟む機会の少なかった事が印象的でした。

このまま数をこなして6本取りの感覚を指で覚えてしまえば中国の自転車工場で車輪組してる小姐達に引けを取らないスピードになるのは容易に想像出来ます。

自転車技士試験の講習でみなさんが苦手とされる車輪組み立ては実は簡単だと思っていただける様に覚えて慣れていただく事で大きな自信になります。

目指すところは仮組とフレ取りで20分で出来る様になっていただき実技試験を余裕で組み上げて

いただきます。実技試験に於いて90分の時間制限の中で40分で立ち上がって会場を出て行く時の周りの羨望の眼差しは超快感です。

(私が受験した時はレギュレーションがもう少し緩かったので33分で組み上げました。エヘン)

これからの時代。インフレの上に円安が重なって来ます。更に産油国の減産で石油価格が更に高額取引になりガソリン価格に反映されて来ます。

一先ず12月頃までは補助金で175円に安定させるそうですがその補助金が無くなれば200円/L以上になる可能性があります。

自転車の整備修理の応用が出来れば減少している自転車店の代わりに直す事が出来ます。

些細な調整や簡単な修理で直るものを買い替えてゴミを増やすよりも直して永く乗る事がこれからの脱炭素時代に沿った仕事の在り方であると思っております。

この考えに賛同して講習に参加いただいているAさんに感謝しております。

次回はこの車輪でフレ取りにチャレンジしていただきます。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性整備士育成レポート③

こんにちは。代表理事の中根です。

今回はAさんの3回目受講レポート。

今回はブリヂストンサイクルのスタッカードフレーム27。5段変速の車両。

この個体は全体に劣化が酷くチェーン、ギヤの摩耗もあり解体したり摩耗などの解説をするにはもってこいの教材です。

自転車店では邪魔なゴミなのですが弊協会では教材として活躍する頼もしい車両です。

新車の整備では得られない情報や症状が満載です。

①2台目とは思えない程の軽快な手つきで前車輪、ハンドルを外しこちらがビックリ‼️

どうやら前回のバラしの後イメージトレーニングをされていたのでしょうね。

②この車両はシマノのインター5なので後ろ車両を外す前にシフトワイヤーを外すのですが前回バラしたインター3とは機構が違いますので取り外し方をゆっくりお見せしてボルトの脱着をなん度も確認していただきました。

上級機種にしか採用されないのであまり馴染みの無い部品(機構)なのですがいざとなった時に動画や写真を観ても解らないので体感しておいてもらえれば忘れてしまっても動画を観た時に思い出せるのです。

シフトワイヤーの脱着に納得していただき、後車輪を外せました。

③その時のAさんに新たな好奇心が芽生えました。

チェーン引きの形と構造が気になる様です。

元々、講習車両はチェーンが伸びきっているものだったのでチェーンを緩めなくても車輪をはずすことが出来たのです。

何のためにあるのか?

に応える為もう一度後車両をセットしてチェーン引きを締めることでチェーンが張っていく様を体感して反復練習していただきました。

この車両はチェーンが出ているピストルケースなので調整がし易かったけど、ママチャリの様な全ケースだと走ってる時にチェーンがケースに当たってパチャパチャ音がしたりチェーンが外れたりするという話をしているところでご近所さんが当該車両に乗って来られました。走ってるとうるさいとの症状で正にタイムリー❣️

チェーン引きを締めながらパチャパチャいう音が無くなっていくのを隣で確認いただき後車輪脱着で多くの情報を吸収いただきました。

④私の不手際でペンチ型のチェーンカッターを何処かに仕舞い込んで直ぐに出なかったのでHGチェーンカッターでチェーンを切って繋げる練習もしていただきました。

本来、このサイズのチェーンはペンチタイプで切断、接続する方が楽なのです。

(Aさんが帰宅された後、ペンチタイプが見つかりました)

チェーンのピンを確認で切ったり繋いだりして慣れていく途中。大きな声でアッ‼️‼️って出されるもんだから工具で怪我したのかとビックリしたら通常車輪が入っていてチェーンを繋ぐ時やり辛いのでは❓との質問。

頭の中では車両を装着してのチェーンの脱着などをイメージしたのでしょうね。

こういう好奇心や観察力などが豊富な人は教えがいがありますし覚えも早いんです。

ギヤにチェーンを掛けずにジョイントしてからチェーンを後ろのギヤに掛けてフロントギヤの下側の引っ掛けたあとクランクを逆回転させる事をレクチャーしたところ恐る恐るクランクを逆回転させて歓喜の声が上がりました。

自転車のチェーンは大まかには2種類。

①シングルギヤの1/2×1/8(通称1/8)これはいわゆるママチャリ用

②一般の多段式ギヤ用。

最新のロードバイクなどはコンポーネントに合ったチェーンを指すので上記の様な呼び方はせず製品記号などで呼称します。

①と②の違いはチェーンの厚みと横のしなりです。

②はチェーンが左右に動く為横方向のしなりが必要になります。最近では11速がありますのでギヤの歯を薄くして限られたスペースに11速が入っている為、強くて薄くてしなやかなチェーン。当然、グレードによって値段も様々です。

話がそれましたがチェーンを繋ぐ時や引っ掛ける時の手順はママチャリもロードバイクも同じなのです。

こうやって応用を高めていくと技術習得に夢が広がりますよね。

応援してくださっているお父さんのプレゼントでツールセットを大事にもってこられましたのでこれを最大限に活用出来る様にレクチャーしていきます。

また一つスキルアップされたAさん。

満足度満点で帰っていかれました。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

女性自転車整備士成長レポート①

先日、ある女性が自転車の点検にお越しになりました。

その女性のお名前はAさん。

Aさんは自転車の点検中とても熱心に覗き込んで質問を沢山されました。偏見をするわけでは無いですが女性にここまで構造の質問いただきそれを解説してると深く頷きながら腑に落とされるという初体験をしました。

色々話をさせていただいている中でDIYが好きで工具を持ったりすることも好きだとの事。

弊協会の名称や活動の質問もいただき技術者を育てる活動の話をさせていただいたところ目をキラキラして是非習ってみたいと要望されました。

服や指先などが汚れるという女性が最も断る理由をこちらから提示しましたが彼女の好奇心を静めるには至らず週末に体験していただく事になりました。

弊協会のプログラムはボロボロの自転車をひたすらバラす事から工具に慣れどの部分にどの工具を充てがうかという身体で覚えていただきます。

一般通常の技術講習では各部の名称や工具の名称、特徴、注意点をテキストなのでしょうが今まで色々コーチングさせていただいた方々で頭で覚えようとする方は工具を持とうとしない方が殆どでしたので少々時間はかかりますがテキストは後回しというのが私のメソッドですね。

週末にお越しになるということでおあつらえ向きの解体車両をお引き取りしたところでしたのでコレにチャレンジしていただきました。

①先ずは前車輪を外してみたいという希望でラチエットを手にしていただき前車輪の取外し。

タイヤも外してみたいという要望で10mmスパナとタイヤレバーをお渡ししてバルブのロックナットを外してタイヤに着手。

初体験に戸惑いながらも怪我のないよう見守って最小限のアドバイスと『頑張れ』という言葉だけでタイヤの取り外しを完了。

②なんとAさんの好奇心はスポークに向けられ、バラしてみたいという要望。

ニップル回しをお渡ししてひたすらニップルを緩めていただきました。

講習車両のスポーク、ニップルが極度に錆びついていたので相当苦労されましたが錆びついて折れる時の感触、折れた時の音なども同時に体感いただけました。緩みにくいニップルもキンキンという音が低くなれば緩み出すという発見もたった36本のバラシの中で習得いただけました。

③ニップルを外したハブから交互に差し込んだスポークを抜き取り車輪のバラしを終えられました。

Aさんの好奇心はハブ心棒に着目されました。Wナットという構造なので改めて説明解説しましょうという事でお昼の休憩で帰っていかれました。

④なんとお昼ご飯を食べて再度来社いただきビックリ‼️

今度は後車輪を外したいという要望で3段変速の車輪にトライ。

10mmスパナと10mm BOXでブレーキの取り付けとだるまネジを外しラチエットでハブナットを外して最大の難関チェーンで苦労されるはずなのですが今まで自転車屋さんでチェーン引きを調整するところを見てたことがあったという事でスパナをチェーンに当てがい緩め始めました。

本当に初体験なの⁉️ってこちらがビックリするくらいでした。

⑤フロントギヤからチェーンを外す事に少し苦労されてましたが無事車輪を外し1時間後にはリム、ハブ、スポークがバラバラに出来ました。

⑥リアフェンダーの取り外しも無事終了して、フロントキャリパーとフェンダーを外してその日の作業は一旦終了。

少し時間があったのでフロントキャリパーのWナットの構造を実際に緩めたり締めたりして確認までいただき内容の濃い1日目を終えられました。

興味があるということはこういう探究心につながるのですね。

今後のAさんの吸収力に期待します。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

車輪組み(動画あり)

大変ご無沙汰しております。

代表理事の中根です。

5月の半ばを過ぎました。

毎年6月になると自転車技士の試験申し込みが始まります。

試験は90分で後ろ車輪の組み立てバランス取りの後タイヤを嵌めて全体の整備という形。

減点方式の採点になっております。

いつも駆け込みで依頼を受けるのですが皆さん車輪組み立てでお困りです。

車輪組み立てバランス取りを30分以内で仕上げれば60分で残りの整備をすれば良いのでタイムマネジメントがしやすいのですが弊協会に駆け込みで来られる方々は車輪が組めなかったり60分以上かかってしまったりして最後まで仕上げられず失格になってしまわれる方々が殆どです。

今回、MTBの前車輪をバラす機会があったので組み立てを早回しで動画に収めてみました。

①スポーク通し

②ニップル仮付け

③ニップルの仮締め

④縦振れ取り

⑤横振れ取り

車輪組みで1番重要なところは③なのです。スポークが弛んでいるところでどんなに横や縦の振れを弄ってもリムが真っ直ぐに回ってくれません。そして均等に仮締めする事でその後の④や⑤の作業時間を大幅に縮めることが出来ます。

試験車両は練習もそれでやるので予め③の仮締回転数を私が車両ごとにお伝えします。

後ろ車輪だと右(スプロケット側)と左で長さが違いますから①の通す時も簡単なコツがあります。

今回は修理でスポーク交換でしたのでぶっつけ本番ですから③の仮締めで10回転だったのですがニップルを3-3-2-2回転と車輪をなん度も回したので時間が掛かってしまいましたがハブにスポークを通し始めてから組み上がって振れ取り台から外すまで30分で出来ました。

私ごとになりますが34年前、自転車組立技士として試験を受けた時は反復練習したので組み立てを始めて完了する迄に38分で出来ました。弊協会ではこの時のノウハウを懇切丁寧にお伝えしていきます。

40分を切って組めるかどうかは個人差ですが今までお教えさせていただいた方々は車輪組みとタイヤをはめるまでに40分、車両の組み立て調整をして完了するまでに70〜80分ほどでゆとりを持って終了されてます。

制限時間内に終えて点検する余裕がある事で合格する確率を上げていただいております。

技術は本やテキストを読んでも身につきません。数をこなして体で覚えていく必要があります。

一度身につけた技術は『芸は身を助ける』ごとく、少々のブランクがあっても体が覚えているものなのです。

物価高の世の中、自転車の需要が増えているこのご時世。自転車店の跡継ぎが居らず修理出来る人、場所の需要はどんどん増えてきています。

新たなスキルとしてこれからの時代に喜んでいただける技術を身につける事でサラリーマンであっても社内ベンチャー、新規事業部としての企画もお手伝いできますし副業(複業)、独立、事業継承のお手伝いもできます。

自転車店ビジネスはかなり小資本省スペースでスタート出来ます。

最小限のリペアパーツ、工具と技術で良いのです。飲食店と違って仕入れた物のロスは殆どなく視覚などの法的規制は今のところ緩い業界なのです。

将来のために何かとお探しなのでしたらご相談ください。

今年の自転車技士試験を受験される方々。実技試験を突破されたい方はお早めに受講枠を予約くださいませ。早めに準備して余裕で試験に挑む事をお勧めします。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

シマノ純利益33%

こんにちは。

大変ごぶさてしておりました。代表理事の中根です。

本日の新聞にシマノさんの記事が載っておりました。

コロナから自転車業界が一転しました。

世界中がソーシャルディスタンスを推奨しオランダなどでは国からの補助が出るという事で生産国に一気にオーダーが上がりシマノさんのキャパシティを越えてしまった為、スポーツバイクの生産が追いつかず業界での問題になっていました。

それが段々と落ち着いてきたという事なのだと思います。

コロナによって世界でのユーザー層が拡がった事でその方々の買い替え需要などが今後コンスタンスになっていくのでは無いかと推測しております。

ロシアによるウクライナ侵攻でエネルギー価格、鉄やアルミなどの原料価格、輸送コスト、為替レートなどの変動で『自転車は1万円で買える』という常識を覆す事になりました。

自転車というのは数年に一度買うかどうかの耐久品なので弊協会の店舗事業部にお越しになる方でもそういった驚きをされる方々は少なくありません。

新聞の折り込み広告でも以前の1万円クラスは18,000時円台の価格です。

本日の別の記事ではスクラップ鉄の価格上昇という記事も目に入りました。

鉄の需要が上がって価格が上昇してるということはこれらが精製されて新たな鋼材などになった時には価格が添加されてくるという事。

そのうちに1万円台で売られていた事が伝説になる時代が来る可能性は高いと思います。

時間はかかるでしょうが使い捨てされていた自転車が直して乗る物という認識に移り変わっていく様になるでしょう。

コロナ禍からの自転車ラッシュですが、今後の時代背景で電気代の高騰、ガソリン代の高騰、食料品の値上げなど家計を揺るがす要因が多く見られます。そうなればガソリン代を節約するというのは真っ先に取り組まれるであろう案件。

現在お持ちの自転車を直したり新たに買ったりするもしばらくすると修理、点検は必要になってきます。

その時、自転車のメンテナンスが出来る技術者が少なくて需要が増えると思います。昭和の時代迄はそうした技術を習得出来る機会や場所は『小僧』という風習で大きなお店に住込みで見習いに行って習得してくる事で横の繋がりや情報網、取引先などを開拓する事ができました。

今の時代ではそれに加えてインターネットやSNSなどで情報を得る事ができる様になりリモートなども視野に入れた工夫もできそうな時代になってきました。

弊協会ではまずは対面で技術習得をしていただき技術者同士の横の繋がりをオンラインサロンにて共通して更なるブラッシュアップや情報共有、仕事の共有などを展開していきます。

販売して終わりではなく販売してから始まるお客様との関わりが大事だと思っております。

自転車の場合、部品点数が少ないので技術習得はとても早く行えます。

部品点数が少ないということは工具の種類も少なくて済むという事。

他の乗り物と比較するとローリスクな資格でありながらより多くの需要を抱えていける産業に変化していくでしょう。

今現在では資格がなくても開業が出来る仕事でもあります。

まだまだ未開の業界だからこそ色々と取り組んでいける伸び代を多く抱えております。

一緒に新たな時代を構築していきましょう。

お問い合わせ欄より何なりとお願いいたします。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

エネルギー危機で再評価

こんにちは。

代表理事の中根です。

12/30の新聞記事よりフランスでの『集団的節制』がもっと大きな自転車ブームをもたらすかもしれないというもの。

現在人口の3%の自転車利用者を24年までに9%にする為、自動車から自転車に乗り換える人に4000ユーロ(56万円)の補助金支給してガソリン消費を減していく

2021年のフランス人口が約6750万人。増加する6%で405万人の需要一台あたりの単価が65万円となれば大容量バッテリーのE-BIKEが飛ぶように売れる計算。

日本の年間販売台数が162万台(2,020年)。その中で廉価車が多く含まれている事を思うと欧州の需要に応えることは自転車メーカーにしてみたら大きなビジネスチャンス。

コロナ禍が始まっ た時、世界中からオーダーが入り中国の工場がオーバーフローしてしまいその注文にシマノが追いつかずパーツ不足で生産出来ず通常の倍近い納期だったものが更に今後も続く可能性があるという事。

日本での自転車販売の平均単価よりもはるかに高い価格で日本の販売数の倍以上の台数が出ればそちらが優先になってしまうことは十分考えられることだと思います。

昨年、国内のメーカーが大幅な値上げをしましたが更に値上げと品不足に悩まされることになるかもしれません。

この流れはエネルギー危機から始まっている訳でフランスだけの問題ではありません。

日本においてもガソリンの高騰や電気代、輸送費の高騰など影響が出てくるでしょうし二酸化炭素排出を考えれば移動手段の自転車シフトは容易に想像がつきます。

正月の初売りで弊社の新聞に折り込まれて来たチラシには特価車が1万円台後半。

このまま部品の値上げや有事による海上輸送コストが上がったりすると1万円台の自転車は姿を消すかもしれませんね。

今までタイヤ交換をする事と買い換える事で天秤にかけられて廃棄されていた自転車が直して乗る様になっていくと思います。

直しながら永く乗る事で結果的に安い乗り物になるのです。

現在その直す店、人が圧倒的に足りません。

個人で技術を取得して副業としていくのもアリですし会社の事業部として社員、会社で使う車両の保守管理として行う事で福利厚生と通勤における脱炭素化を図る事ができ法人としてのメリットが出てきます。

新たなリスキングとして学んでみませんか?

HPのお問合せ欄より何なりとご質問お待ちしております。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

ありがとうございました。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏

遠方からノーパンク依頼

こんにちは。お久しぶりです

代表理事の中根です。

先日、タンナスのはめ替えのお問合せいただきました。

小牧市のTさん。小牧と言っても北部なので犬山に近いところから1時間かけてお越しいただきました。

元々タンナスが装着されていたクロスバイクを通勤で5年ほど乗っておられたのですがタイヤパターンがなくなって来たから新品にしたいとの事。

近所の自転車店で問い合わせたところ片っ端から断られてタイヤ・チューブにしなきゃjいけないのかなぁと感じておられたのですがパンクによる遅刻などを懸念してノーパンクのメリットを実感されておりノーパンク以外の選択肢が無かったとの事。

購入時の保証書などからメーカー名を探してHPで調べてタンナスのHPから弊社へアクセスとなった様です。

700x 28cのリムに35cのタンナスを引っ張って入れるのはとてもよい運動になりました。(笑)

前後車輪を外してタンナスの取り外し車輪の振れを確認してから新規メディア装着。

2本目の時動画を思いつき早送りで撮影してみました。

総作業時間45分と長丁場になりましたが無事終了。

来年度Tさんの通勤を安心して支える乗り物に仕上がりました。

自転車店が減っていく中で物価上昇などで自転車の需要、ノーパンクの需要がどんどん増えていく時代になると思います。

働き方の多様化で早朝や深夜の移動時のパンクのリスクを味わった方はノーパンクを考えられるはず。

多くの自転車店がノーパンクの施工を嫌がられる今、エリア拡大と他社との差別化に重要なリソースだと感じております。

来年は法人需要にも目を向けて案内、営業をしていきます。

素晴らしい体験をさせていただけました。

今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。

佳いお年をお迎えくださいませ。

一般社団法人 自転車技術者協会

代表理事 中根和宏