こんにちは。
代表理事の中根です。
今回はAさんに車輪組み立てを体験していただきました。
今まではただ単にバラすだけだったのですがこうして車輪組みを覚えていただくことで今後、バラしをする時にも視点が変わってくると思ったからです。
今回は27型のオートライト前車輪に挑戦していただきました。
その前に簡単にスポークの#13、#14の違いを見て確認していただき8本組み、6本組み、4本組み、ラジアル組の説明。
通常の自転車の前車輪は#14の6本組。JIS組に取り組んでいただきました。
ポイントは2本目のスポークを通す穴を右側取ること。
Aさんの凄いのは前回車輪をバラした時に交互にスポークが刺さっていたのを覚えておられました。
JIS組の通し方を教えただけで規則正しくスポークを通すことができました。
弊協会では中根メソッドで組んでいただきます。
ハブ心を地面につけたまま浮かせずに組んでいただくのです。
バルブ穴の隣からニップルを規則正しくはめていき上のフランジのスポークが全て出来上がったら車輪をひっくり返さずそのまま下のフランジのスポークを組んでいきます。
これは私が小学校2年の冬から家業の手伝いで父から教え込まれた組み方です。
昭和の時代。自転車や部品が国産であった時、殆どバラバラで店舗に届きベアリングの一つずつから自転車店で組み付けていた時代。業界で組み立て競争という行事があったそうです。
父はその大会で10位。(何人挑戦したのかは今となっては判りませんが)早く組み立てるために人よりも手数を少なくする事を考えた結果がこのやり方だったそうです。
のちに私がツノダ自転車に入社した時その大会で1位だったお店で技を見る機会がありました。
仮組みは父と同じメソッド。違いはフレ取りでした。
振れ取り台にかけてから3回転させるだけでタイヤをはめる技を何度も見させてもらって技を盗むことが出来たのです。
話がそれましたが今回は仮組み。1時間掛かりましたが初めてにしてはミス無く形に出来ました。
ハブ心を地面につけたままでしたのでスポークが暴れることなく安全にニップルとジョイント出来ました。
小さな失敗はあったもののこれらは次に繋がる学びです。
本当はもっと大きな失敗して逸話共に学んでいただきたかった(笑)
手袋をしてるのでニップルがつまみにくく回転を思うように回せずはめたはずのニップルがポロポロ落ちてしまうことで時間ロスはありましたが初めて車輪組みする人とは思えないスピードと出来映えでした。
女性であるゆえに細かな事に気が回せるって事なのでしょうか?
今までお教えした男性陣よりも私の手や口を挟む機会の少なかった事が印象的でした。
このまま数をこなして6本取りの感覚を指で覚えてしまえば中国の自転車工場で車輪組してる小姐達に引けを取らないスピードになるのは容易に想像出来ます。
自転車技士試験の講習でみなさんが苦手とされる車輪組み立ては実は簡単だと思っていただける様に覚えて慣れていただく事で大きな自信になります。
目指すところは仮組とフレ取りで20分で出来る様になっていただき実技試験を余裕で組み上げて
いただきます。実技試験に於いて90分の時間制限の中で40分で立ち上がって会場を出て行く時の周りの羨望の眼差しは超快感です。
(私が受験した時はレギュレーションがもう少し緩かったので33分で組み上げました。エヘン)
これからの時代。インフレの上に円安が重なって来ます。更に産油国の減産で石油価格が更に高額取引になりガソリン価格に反映されて来ます。
一先ず12月頃までは補助金で175円に安定させるそうですがその補助金が無くなれば200円/L以上になる可能性があります。
自転車の整備修理の応用が出来れば減少している自転車店の代わりに直す事が出来ます。
些細な調整や簡単な修理で直るものを買い替えてゴミを増やすよりも直して永く乗る事がこれからの脱炭素時代に沿った仕事の在り方であると思っております。
この考えに賛同して講習に参加いただいているAさんに感謝しております。
次回はこの車輪でフレ取りにチャレンジしていただきます。
今日もここまで読んでいただいたご縁に感謝します。
ありがとうございました。
一般社団法人 自転車技術者協会
代表理事 中根和宏